社長のコラム
『慌てず、急いで、正確に』
昔からの言い伝えで『一月往ぬる、二月逃げる、三月去る』という言葉があります。この三か月は、正月や節分、ひな祭りなどの行事が多く、加えて2月が平月に比べ日数が少ないこともあり、あっという間に過ぎ去ることを喩えたものです。現代においても入進学、卒業や年度末の行事が目白押しであることから、昔以上に時間の速さを感じるのではないでしょうか。当社では、この期間に70パーセントの業務が納期を迎えますので1年を通じて最も繁忙となります。皆さんも『一月往ぬる、二月逃げる、三月去る』という言葉を切に感じていらっしゃるのではないかと思います。
私が業務を担当していたのは、今から25年以上前のことですので、随分と昔のことになりますが、今でも時々この時期の忙しさが甦ることがあります。その頃、時間に追われ、焦り、慌てたことが脳裏に強く刻まれているようで、今でも“明日が納品なのに成果品が全く出来てない”“成果品の箱を開けたら中が空っぽであった”という夢に魘されて目覚めることがあります。当時の私が怠慢であったことを今更ながら反省しています。
私は、還暦を過ぎた今も“そそっかしい”性格が直りません。今でも時間に追われると、焦りから気持ちが空回りする傾向にあります。そのような時には、半世紀以上前に恩師から諭された言葉を思い出し、自分を戒めることにしています。その言葉は『慌てず、急げ！』というものです。その意味は、急ぐということと、慌てることは全く異なり、急いでも平静さを失うことのないようにという教えです。
先日、漫画家の松本零士さんがお亡くなりになりました。代表作の『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』など、宇宙をテーマとした壮大なストーリーで、多くの人を魅了し、夢や創造力を与えた偉人です。この度、故人を追悼しながら、木村拓哉さん黒木メイサさん主演の実写版『宇宙戦艦ヤマト』を鑑賞しました。そのクライマックスシーンを紹介しますと、ヤマトの隊員が、滅亡寸前の危機にある地球と人類を救うため、ガミラス帝国に乗り込み、自分の命と引き換えに敵の中枢を爆破する際、このミッションを委ねた仲間に対し最期に発した言葉が『技師長、慌てず、急いで、正確に、な』というものでした。
私たちの業務におけるクライマックスを迎えました。この一年を有終の美で飾るためには『慌てず、急ぐ！（スピード感）』ことと『正確さ（品質）』が大切です。皆で『慌てず、急いで、正確に』を実践し、見事に締めくくれるよう取り組んでまいります。
和田晶夫
