先日、私の尊敬する先輩経営者が約一年ぶりに当社を訪ねていただき、会社経営や物事の見方や考え方について示唆に富む話をいただきました。その方は都内で物流業を経営され、社員数150名くらいの中小企業でありながら、新卒求人数若干名に対し、応募者が1万人を超すエクセレント企業を創られた方です。また、六十歳を過ぎてから大学院に進まれ、中小企業研究の第一人者である法政大学坂本教授と共に全国の中小企業を訪問され、それをテーマとして研究されMBAを取得していらっしゃいます。 今回お話しをいただいた中で特に印象に残ったのは『自分に矢印を向けなさい』という言葉でした。その意味は、起きる現象は、良い結果、悪い結果に関わらず全ての要因は自分自身にあることを知り、真摯に受け止めて、主体的に行動すること。結果を受け止め内観、自省しなさいと言うことです。 『自分に矢印を向ける』とは逆に『人に矢印を向ける』とは「うまくいかない原因を人のせいにする」ことで、自ら行動しない、悪口や愚痴、不平不満を言う行動パターンです。「仕事がうまくいかないことを部下(上司、会社)のせいにする」「環境や条件のせいにする」と言うように、うまくいかないと『人に矢印を向ける』傾向があるようです。矢印を人に向けることは、被害者的発想で、何の解決や改善にならないのは言うまでもありません。 私の場合も、時として『人に矢印を向ける』ことがあります。大いに反省した次第です。 今年は、前半4日、後半4日のゴールデンウイークです。すでに前半の四日間を終えましたが、皆さんそれぞれに楽しく、有意義に過ごされたことと思います。趣味や旅行、娯楽等の楽しい事を行うのにも、自分が原点になり、主体とならなければ決して満足感、幸せを感じることが出来ないと思います。 『矢印を自分に向ける』ことは、仕事や自分の課題に向き合うといった“厳しさ”に向き合うことだけではなく、“楽しむ”ことにおいても言えることです。何を行うにも、全ては自分次第であり、気持ちの持ち方、行動次第であると言うことです。 皆さんの前でこの話をさせていただいていますが、皆さんに向けたものではなく、『矢印を自分に向けた』ものであり、私自身がATM(明るく、楽しく、前向きに)に行動するという誓いであることを申し添えさせていただきます。
和田 晶夫