山陰地方では、節分の時季に低気圧が発達しながら日本海を通過し、この低気圧や前線の影響から、強い季節風が吹き荒れ、雨や豪雪などで天候が大荒れになることが多いことから“節分荒れ”という言葉を耳にします。“節分荒れ”は永年の気象環境から経験的に使われるようになった山陰特有の表現であると思います。
今年は、節分より少し早い大寒(1月20日)から日本列島の広い範囲において、10年に一度と言われる大寒波に見舞われ、各地で社会生活が大混乱することとなりました。山陰地方でも数年ぶりの大寒波により、私たちの日常生活にも大きな支障を来しました。皆さんも通勤などの際、交通渋滞、混乱で大変なご苦労をされたことと思います。まさに節分荒れとなりました。また、そのような中で、当社には国土交通省から災害協定による支援要請があり、一部の方には国道の安全パトロールを担っていただくこととなりました。荒天の中、責任の重い業務でしたが、安全に任務を全うしていただきました。心より感謝を申し上げたいと思います。
私事ですが、この大寒波と重なるようにインフルエンザに罹り、喉の痛みと高熱に魘されて過ごすこととなりました。この間、家の中から大荒れの風景を眺め、天候や心身ともに安寧であることのありがたさを切に感じました。昔から季節の変わり目には禍や病が現れるといわれ、特に気候の厳しい冬から春に移り変わる節分には「鬼は外 福は内」と唱えて、豆を撒き、恵方巻を頬張り、地域ごとの特色ある食材を頂くことで邪気を祓う習わしがあります。
私たちが子供のころから馴染んでいる『鬼は外 福は内』ですが、江戸時代に儒学者が『遠仁者疎道(おにはそと)不苦者有智(ふくはうち)』と表し“じんにとおきものはみちにうとし、くるしまざるものはちにうとし”と説いています。その教えは“仁に欠けた人、つまり思いやりや感謝のない人は人の道に疎く、苦労や努力なくして本当の智は得られない”というものです。私は、この教えを知ってから、節分に神社にお参りする際に、思いやりや感謝の気持ちを大切にし、努力することを神様に誓うこととしています。2月3日の節分には、『遠仁者疎道(おにはそと)不苦者有智(ふくはうち)』と大きな声で唱えて邪気を払い、心身を健やかにリセットして、良い春を迎えることが出来るよう願いたいと思います。
希望に満ち溢れた春に向け、全社一丸となって『遠仁者疎道(おにはそと)不苦者有智(ふくはうち)』で業務の総仕上げを行ってまいります。
和田晶夫