一年を締めくくる師走を迎えました。師走の恒例行事の一つで、12月12日の漢字の日には、日本漢字協会が公募し選ばれた、その年の世相を最も反映した“今年の漢字”を京都清水寺の貫主が巨大な和紙に揮毫するイベントがあります。昨年は、北朝鮮の動向やミサイルが北海道上空を通過したことに緊張が走ったことや九州北部の豪雨、迷走台風が北海道に上陸したこと、大谷選手の移籍、清宮選手の入団で話題になった北海道日本ハムファイターズなどの話題から『北』が選ばれました。
私なりに“今年の漢字”を予想してみました。この一年は日本列島各地で地震、梅雨前線豪雨、台風等の自然災害が頻発したことから“災(わざわい)”が選ばれると予想しました。島根では二月の豪雪に始まり、四月には大田市を震源とした震度5強を記録する島根県西部地震が発生し、社会インフラ、千軒を超す住家に被害が及びました。
全国では、七月には梅雨前線による記録的な豪雨により、西日本を中心とした広い範囲で、堤防やため池の決壊、土石流により二百人以上の人命が失われるという、平成になってから最大規模の豪雨災害が発生しました。六月には大阪北部で震度6弱、九月には北海道胆振地方で震度7の地震が発生し尊い人命が失われると共に、ブラックアウトにより北海道全域が停電するというショッキングな事態が発生しました。その他にも白根山の噴火や関空の高潮被害など自然災害の多い一年となりました。
日本列島は火山列島であり、また、フィリッピン海プレートと太平洋プレートの狭間に位置する地震列島でもあります。また、台風の通り道に位置すること、アジアモンスーン地帯に位置し降水量が多いことに加え、河川が急流であることなどから、世界有数の災害大国であると言われています。実際に地球上で発生するM6以上の地震の約20%は日本列島で発生していることや、全世界の災害被害額のうち12%が日本の被害額であるというデータがあります。このような厳しい自然環境にありながら、私たちの先祖は自然と戦いながら、社会インフラの整備により、不毛であった大地を自然と人が共生する田園風景に造り上げ、また、機能的な都市空間を整備し豊かな国土を造り上げてきました。
『災いを転じて福と為す』という諺があります。“自然の脅威を大地からの恵みに変えていく(マイナスをプラスに変える)”というように解釈できます。私たちは、この一年も、防災や減災対策、地域の安心安全を守る業務、県内や広島からの災害復旧支援要請に対して全力で取り組んでまいりました。私たちの仕事が『災いを転じて福と為す』の一翼を担っていることを強く感じた年でありました。
一年を締めくくる、何かと気忙しい師走です。気持ちを前向きに、ギアを一段階あげて“マイナスをプラスに変えるプラス思考”で一年を有終の美で飾ることができるよう取り組んでまいります。
和田晶夫