6月3日は『測量の日』です。昭和24年6月3日に測量法が公布されたことからこの日を『測量の日』として定めています。
『測量の日』が定められたのは、平成元年ですから、今から三十年ほど前になります。『測量』の成果を代表するものとして『地図』があります。その頃の地図は紙ベースが基本であり、一般の人には馴染みにくく、汎用性も低いものであったと思います。この三十年で測量技術、情報処理技術等が大きく進歩したことに加え、人工衛星から現在位置を正確に把握することが可能になり、カーナビやスマホ等により、地図情報としての利便性が大きく向上し電子地図が一般化しました。この三十年で、地図は一般の人の生活においてたいへん身近なものとなりました。
私は、三十年前にはこの仕事についていましたが、当時この大きな技術革新が起きることを予測すること、想像することさえ出来ませんでした。最近では『測量』は『地理空間情報技術』へと呼称が変わりつつあり、これから更なる技術革新、進化を遂げていくことと思います。
私たちが暮らしていくうえで必要なインフラを作るため不可欠かつ最上流にある技術が『測量』です。『測量』は先人の地道な努力と自己犠牲により、築き上げられてきました。日本では今から二百余年前に伊能忠敬等が十七年にわたり全国を歩き、羅針盤、歩測、間縄等を用いた地道な測量により正確な国土地図を作ったことが知られています。また、百年余前の明治末期には正確な五万分の一の地形図作成のため、全国土の三角点網を完成すべく、当時は前人未到の北アルプス剣岳(2999m)に挑んだ測量隊の使命感と献身、仕事に誇りを持ってのぞむ姿が映画化され、大きな感動をよびました。
社員の皆さんには、この機会に伊能忠敬の図書、剣岳(点の記)の映画、図書に触れる機会を得ていただきたいと思います。
私たちは『測量の日』に先人の足跡をたどり、その努力や偉業に敬意を払いますと共に、今を担う私たちにとって大切なことは“先人の歩んだ道、技術や考え方を大切にしつつ、常に新しいチャレンジをすることにより成長、発展し、後世に素晴らしい技術と職業の誇りを伝える”ことであると思います。
暑い夏を迎えますが、心も熱く職業の誇り、使命感を持って仕事に取り組んでまいります。
和田晶夫