6月3日は「測量の日」です。昭和24年6月3日に測量法が公布されたことに基づき、公布から40年を迎えた平成元年に定められました。「測量の日」制定の目的は、現代社会において、測量や地図の大切さが一般の人には分かりにくくなってきたことから、少しでも多くの人にその重要性を知ってもらうために定められました。
古今、人類が地球上で生活していく上で、測量が不可欠な技術であったことは言うまでもありません。その言葉の語源が「測天量地」であるように、測量の原点は天文観測と土地丈量であることを示しています。約五千年前には古代エジプトで高度な天文観測と測量を基にした土木技術でピラミッドを築造したこが記録に残っています。
測量から連想される日本人として、多くの人が伊能忠敬を思い浮かべるのではないでしょうか。今から200余年前に正確な日本地図を作ったことで知られています。彼の生きた江戸時代は平均寿命は50歳くらいで、40歳くらいで隠居するのが一般的であったのようですが、新田開発や商人として才覚を発揮し、大きな成功を収めた忠敬は50歳を機に商売から離れ、そこから天文学・暦学を学び始め、55歳から17年の歳月をかけて、険しい海岸線、道なき山野も全て、羅針盤と自らの歩測による距離測定で、日本の海岸線4万キロを踏破し国土地図の作成という偉業を達成しました。
忠敬の信条は「目の前のことに集中する」ということであったようです。無から一歩ずつ地道に歩いて国土地図を作った彼は、何よりも目の前の問題をきちっとその日にやっていくことの積み重ねを大切にしていたようです。測量の専門家でもなく、年齢的にもハンデのある彼が偉業を達成できたのは、ひとえに小さなことを確実に積み重ねることが出来たからでしょう。
現在私たちの行っている仕事も一歩ずつの確実な積み重ねなくしてよい成果を作ることは出来ません。少しの油断、一つのミスが成果を台無しにします。
測量の日に伊能忠敬の偉業を尊ぶとともに、彼の信念である「目の前のことに集中する」ということを肝に銘じ良い成果をつくりあげていきたいと思います。
和田晶夫