『言うまいと 思えど今日の 暑さかな』という川柳があります。暑いと口に出してしまえば、余計に暑さが身にこたえるので、言わない方が良いのですが、それでも言わずにはいられないといった感情を詠んだ、まさに言いえて妙な川柳であります。
数年来、公共事業に対する批判が続き、私たち建設産業に対しても逆風が吹き続け、業界・技術者は職業人としてのやりがいや誇り・使命感を見失い、産業全体が急激に疲弊しました。そのような折に東日本大震災をはじめとした自然災害が頻発し、また、公共インフラの老朽化対策が急務であることから、国民の安心で安全な生活を支えるうえで、建設産業の果たす役割が不可欠であることが再認識されてまいりました。
そのような背景があり、公共インフラの品質確保と建設産業が健全に発展するための枠組みとして改正品確法が昨年6月に施工されました。
改正品確法の施工に前後して、社会、メディアの見方が大きく変化し、建設産業の社会的必要性が認知され、風向きが180度転換したところであります。
私たちにとっては追い風の状況になった訳ですが、企業、個人が共に謙虚に受け止めて、自覚、自助努力し、技術の更なる研鑽に努め、良い仕事、喜ばれる仕事をして社会に対する責任を果たさなければなりません。
私たちは、厳しい冬の時代を耐えてきました。その頃のことを思えば、今は社会から一定の理解をいただいている素晴らしい状況であります。
春先から日垣的ゆとりのある業務工程で、多くの方に9日間の連続休暇をとっていただくことができましたが、気温の上昇と共に、業務が本格化し忙しい時期を迎えることになります。仕事が忙しくなると“たいへんだ” “疲れた”といったマイナスの言葉が多くなりますが『言うまいと 思えど今日の 暑さかな』の川柳のように、愚痴ったり嘆いたりしても何ら状況が変わるものではありません。
昔から暑気払いという言葉があります。暑さはビール・冷菓・海や山・夏の風情といった暑さを楽しむことで邪気と共に暑気を払ってきました。仕事の忙しさや、たいへんさは皆が一つの目的、目標に向かって力をあわせることで払うことが出来ます。
暑さを楽しみながらこの夏を明るく楽しく前向きに乗り越えましょう。
和田晶夫