私が心から敬愛する方に、藤井三千勇(ふじい みちお)さんがいらっしゃいます。同氏は現在93歳を迎えられましたが、気力・体力・知力ともに驚くほど充実しており、つい最近も『土木技術アラカルト』というご著作を出版されました。私には「技術は人です」という言葉を添えて届けてくださいました。
ご著作には、名古屋工業大学を卒業後、島根県土木部で道路建設の幕開けとなる昭和30年代に新設道路のルート選定から測量、設計の最前線に立たれたことが技術者人生の起点として記されています。その後、29歳でエイトコンサルタントへ転職され同社の発展に尽力され、40歳で株式会社藤井基礎設計事務所を設立。経営者・技術士として県内の建設コンサルタントの技術力と社会的地位の向上を牽引されました。さらに、地域資源を生かす取り組みや、プロバスケットボールチーム「スサノオマジック」の立ち上げなど、地域貢献をライフワークとして歩まれた70年にわたる軌跡が綴られています。
藤井氏は、当時の建設省からの推薦で島根県庁に入庁された、まさに土木のエリートです。秀でた能力をお持ちであることは言うまでもありませんが、この著作を読み、改めて同氏とのこれまでの会話を回想すると、その類まれな「知的好奇心」と「探究心」、そして仕事に対する「情熱」に、何度も驚かされたことを思い出します。私とは親子ほど年齢が離れていますが、その尽きないバイタリティから、私はいつも大きな刺激をいただいています。
私たちの仕事を取り巻く環境は、インフラを「つくる時代」から「守る時代(維持管理)」へと大きく変わりました。仕事の進め方も、アナログからデジタルへ、さらに3DやAIの活用へと急速に進化しています。藤井氏からいただいた「技術は人です」という言葉について考えてみました。それは、いかに時代や社会が変わろうとも、技術を担うのは「人」であり、その人には何よりも「情熱」が必要であると諭されたのだと感じています。この「情熱」が「探究心」や「好奇心」を育み、技術力と人間力を高め、やがて「自己実現」へとつながっていくと思います。
暑さが本番を迎えます。暑さに負けない「熱さ(情熱)」を持ち、「好奇心」と「探究心」をさらに高めながら、共により良い仕事を積み重ねてまいります。
和田晶夫