書店で偶然に『失敗学のすすめ』という本を見つけました。
失敗学というネーミングと、ブックカバーに描かれた、インクビンが倒れ、こぼれるイラストが気に入って買い求めました。
著者は畑村洋太郎という東京大学工学部の元教授であります。最近ではこの『失敗学』なるものが注目されており、情報番組等のメデイアにも頻繁に出演されている方です。
今日はこの畑村先生の『失敗学』について簡単に紹介したいと思います。
著者は「失敗」を、「人間が関わってひとつの行為を行ったとき、望ましくない予期せぬ結果が生じること」と定義しています。
『失敗学』の考え方は、私たちの身の回りで繰り返される失敗を否定的にとらえるのではなく、むしろプラス面に着目してこれを有効利用しようということであります。つまり、失敗は起こるものと考え、失敗に正しく向き合って次に生かすことが重要で、同じ失敗を繰り返さないためには失敗した当人に優しく接して勇気付けるべきであり、失敗を無視し、隠し、責任回避するような風土を改めることの大切さを説いています。
近年、企業、組織で起きている致命的な事故に、『三菱自動車のクレーム隠し』『東海村の臨界事故』『JR西日本の列車事故』『雪印集団食中毒』等があります。これらは何れも小さな失敗を無視する、隠すことから失敗が増殖し、結果として企業にとって致命的な信用失墜に繋がっています。
誰しも「失敗」は隠したくなるものであり、このことは人間の心理として当然だと思います。
しかし、発覚した「失敗」を嘘をついてまで隠すことは絶対にやるべきでありません。場合によっては回復不能な事態にまで追い込まれることを多くの事例が物語っています。
「失敗」は私たちが行う業務のなかでも些細なものから重大なものまで多種多様です。担当者の知識不足や不注意から起こるもの、うっかりした言葉から顧客を誤解させて交渉が成立しないこと、重大なものでは経営、企画方針の誤りもあります。
我々が活動している限り「失敗」は起こりうるものです。
当社においても、今後、様々な失敗に直面することが考えられます。個々を責めず、失敗を悪いことだと考えず、情報を迅速、正確にオープンにすることにより、失敗の現実を直視し、そこから学び次に生かし、改善していくことが大切であると改めて痛感いたしました。