当社では今年度から日本の伝統的田園風景の残る奥出雲町八代に“和有土農園”を構え、米作りにもチャレンジすることになりました。連休中の5月6日には多くの方にご参加いただき、楽しく賑やかに昔ながらの手植えで田植えを行いました。
荒起こし、種蒔、代掻きなど予てから準備を担当してくださった社内の実行委員、そして私たちの企画を快く受け入れご協力いただいた中村地区の方々、他ご尽力くださいました皆様に心より感謝を申し上げます。
日本の米作りは縄文時代に始まったといわれています。弥生時代には水田稲作が始まり、時代が変遷する中で、土地改良や品種の改良など国を挙げて様々な取り組みにより、長い歳月をかけて現在の生産性の高い水田稲作が完成しています。棚田、ため池、河川の治水、新田開発などを行うことにより、豊かな緑と土と水を養う国土を形成し、同時に神や自然に対する崇拝、米作りにおける互助社会から“和”の文化をつくりあげました。稲作文化は日本文化を代表するものであると言われる所以です。
しかしながら、残念なことに日本の米作りは衰退の一途を辿っています。近年の食文化の変化により米の需要は半減し、価格が低迷。さらには担い手不足が深刻化し、耕作放棄地の拡大したことで、美しい棚田を始めとした日本の伝統的田園風景が急激に失われています。
当社の仕事の目的は地域の維持と健全な発展にあります。それを担う主役は農業・農村であるとの思いから、会社で米作りをすることを発案しました。社員の多くは農業とは無縁で、米作りや田んぼでの体験もありません。最新技術の習得や日常業務に注力するだけでなく、地域の文化や自然を知り、農業・農村のことを体験すること。それは、健全な郷土愛と協働の精神を育むことにつながり、社是である“和”と経営理念“我々は社業を通じ地域に幸せの和を広げること”に通じるものと思います。
“和有土(ワールド)農園”という名は、今回の米作りに多くの人が参加いただき“和”が育まれること(有ること)、さらには自然環境(水と土と緑の循環)に触れることにより郷土愛が高まることを願い命名しました。
5か月後の収穫を迎えるまでには梅雨、猛暑といった厳しい自然環境、害虫や雑草との戦いなどもあります。しかしながら、人の和と自然の恵みで乗り越え、共に収穫の喜びを迎え、日本一の仁多米を皆でいただくことをエネルギーとして、地域の維持と健全な発展に向け社業に一生懸命取り組んでまいります。
和田晶夫