一年を締めくくる師走を迎えました。歳を重ねるごとに一年が早く過ぎると感じますが、それは一年を分子とし分母が毎年ひとつずつ大きくなると数字(百分率)が小さくなることから、加齢とともに相対的に短く感じると言われています。
例年12月12日の漢字の日に、日本漢字能力検定協会により公募により選ばれたその年の世相を反映した「今年の漢字」が京都清水寺で発表され、巨大な和紙に揮毫されます。
昨年の一字には「安」が選ばれています。安全保障関連法案の審議のもつれと抗議デモや集会。異常気象やテロが起きたことから安全の意識が高まったこと。マンションの杭打ち不正やメーカーの偽装から安全が意識されたという世相が背景にありました。
今年はどの漢字になるでしょうか。オリンピックイヤーであったこと。リオオリンピックでのメダルラッシュや政務調査費が度々話題になったことから「金」が有力であるような気がしますが、何が選ばれるのか楽しみであります。
ここで私たちの仕事において今年の一字を選んでみました。私は「革(かく)」がキーワードとして相応しいのではないかと考えました。私たちの仕事において技術の「改革」「革新」が始まり、著しく進んだのがこの一年であったような気がします。
今年度から、国土交通省で測量・設計から施工、管理までの一連を3Dデータで行うICT(i-Construction)の活用が図られたこともあり、測量はUAVの活用やレーザースキャナ等による技術革新が進み、従来の「測量分野」から「測量、地理空間情報分野」へと遷移しました。
私がこの仕事を始めたのは35年ほど前ですが、この間にも測量技術は大きく進歩しました。距離測量は鋼製巻き尺から光波測量、GPSに変わり。製図は人の手作業からCADへと変わり。ほとんどの作業が電子化により効率化され、精度や汎用性も高まりました。
しかしながら、今まさに始まった、レーザーや高速データ処理に関する技術の進歩・普及は、今までの測量の手法を根本から変え、これまでの測量における常識を根底から覆すものとなると思います。
私たちはこの技術革命(技術改革の次元を超えている)、パラダイムシフトに対応していかなければなりませんが、変化の最中にいることを幸せに感じ、楽しむことが大切なのではないでしょうか。
一年の経過を短く感じるのは、冒頭でお話しした相対的な感じ方に加え、集中して仕事をしていること、新しいことに取り組むことができているという証でもあると思います。師走の一月はあっという間に過ぎていきますが、集中力と好奇心を発揮し仕事に取りくみ、この一年を有終の美で締めくくることができるよう取り組んでまいります。
和田晶夫