大社町から湖陵町を経由し、多伎町のキララ多伎までを海岸沿いに結ぶ『くにびき海岸道路』は大社町で暮らす私にとって石見方面に行く際に、利便性が良く、また、真っ青な水平線と島根半島、日御碕海岸を望む景観が美しいことから、好きなドライブコースです。当社がこの道路の整備に関わってきたこともその思いを強くしています。
先日『くにびき海岸道路』を走行していましたら、いつもの美しい風景に違和感を覚えましたので、車を停めて海岸に目をやって唖然としました。そこには、大量の漂着物が堆積し、普段はマリンスポーツや海水浴で賑わっている砂浜が人を寄せ付けない殺伐とした風景となっていました。後で分かりましたが、7月中旬の豪雨により、江の川が氾濫し、そこから流された流木などが日本海に至り、江の川河口から50km以上離れたこの海岸線に漂着したようです。
先日、島根県の担当部署から当社が所属しています島根県測量設計業協会に対し、この海岸線の大量の漂着物を災害復旧事業で除去し美しい海岸線、自然に戻すための調査、測量、設計の要請がありました。私たち、地域の建設コンサルタントの共通の理念は“安心で安全な地域創りに貢献することこと”です。新しいインフラを作ることやその維持管理は大切な仕事でありますが、現代の異常気象と厳しい自然環境のもとで暮らす私たちの地域において、災害復旧支援は最も大切にしなければならない仕事だと考えています。
世界的に新型コロナウイルス感染症の収束が見えない状況にあります。日本でもすでに半年にわたり医療の最前線や保健所など、行政の担当部署の方々の奮闘が続いています。メディア等で目にしますが、プロとしての職業意識の高さと自己犠牲をもって働いていらっしゃる姿に多くの人が感謝と感動の念を抱かれていることと思います。
当社には、今回の海岸の漂着物除去だけではなく、複数の自治体から災害復旧要請がきています。コロナウイルス渦で働いている医療関係者と同じように、私たちはプロとして、職業の誇りと使命感を持って、最新の技術と迅速な対応で社会とお客様に喜んでいただける仕事をしてまいります。
和田晶夫