昭和58年(1983年)の7月20日から23日にかけて、島根県西部地方を中心として、梅雨前線の影響により益田、三隅では総降水量600mmを超え、浜田で時間雨量91mm、日降水量331.5mmを観測するという記録的な豪雨に見舞われ、死者107名、住宅の全壊・半壊3041戸、浸水13996戸、3万箇所に及ぶ山崩れ・崖崩れ、土石流が発生するという甚大な被害を受けました。
今年は、この『昭和58年7月豪雨』から30年目の節目の年であります。私はこの年に入社していますので、特に印象深いものがあります。入社して4ヶ月目に災害業務に携わることとなり、指示された被災現場まで何とかたどり着くことが出来たのですが、家屋や道路が跡形なく流出した惨状を目の当たりにして呆然としたことを憶えています。
その当時は、当社を含め県内の各社も災害復旧の経験や知識に乏しく、体制、技術者の数ともに脆弱でしたが、官民が一体となることにより、また、業界全体、各社も総動員体制で仕事にあたり、災害復旧に貢献することが出来たのではないかと思います。その頃の当社は社員数が約40名でありました。今では、当時の災害を経験した社員は10名程になっていますが、その経験は引き継がなければならない貴重なものであると感じています。
当社だけではなく、この時の経験が自信や職業としての誇りとなり、今の島根県内の建設コンサルタントのバックボーンとなっていると考えています。
この一週間でも、28日には津和野町で時間雨量91.5mm、日雨量381mmを観測しました。29日には大田市でも時間雨量100mm超と推定される集中豪雨がありました。島根県は、気候、地形、地質等から、全国でも有数の災害が多発する地域と言われています。『昭和58年7月豪雨』以降も、しばしば人的、物的な被害を受けていることは皆さんもご承知のことと思います。本日も未明から、各地で非常に激しい雨が降ったようです。
私たち、地域の建設コンサルタントの共通の理念は、“安心で安全な地域を創ること”です。新しいインフラを作ることやその維持管理は大切な仕事でありますが、厳しい自然環境下で暮らす私たちにとって、それ以上に災害の復旧支援は最も大切にしなければならない仕事だと考えています。
当社では、過去の災害発生時には全社を挙げて復旧支援業務に取り組んでいます。既に各自治体から要請をいただいています。通常業務と並行して行うこととなり、多忙を極めることとなりますが、社内の気持ちを一つにして取り組んでまいりましょう。