6月3日は『測量の日』です。昭和24年のこの日に測量法が公布されたことから、平成元年に『測量の日』として定められました。私たちの行う全ての業務の原点には測量があります。そのことから、この日を先人に感謝し、産業・仕事に対する誇りと“おもい”を新たにする日としています。
日本の歴史上で、本格的な測量を行ったとされるのは、今から約200年前に天文観測と歩測や検縄等による地道な作業を重ね正確な日本地図を作った伊能忠敬が知られています。伊能忠敬は、人生50年と言われた時代にあって、平均寿命を超えた55歳から17年の歳月をかけ、日本全国の険しい海岸線や道なき山野を歩き、晩年には老いと病とも戦いながら全国を測量しました。その成果は畳1畳分相当の紙で214枚に及ぶ日本全図で国土の形や地形を精密に表しています。残念ながら完成する3年ほど前に没し、仕上げを弟子たちに委ねることになりましたが、偉業に向けた着想や成就に向けた強い“おもい”と行動力は還暦を過ぎた私にとって勇気をもらい、良い刺激となり、尊敬する偉人です。
5月20日には、伊能忠敬の遺志を継ぎ日本地図を完成させた人たちの物語『大河への道』が公開されました。落語家立川志の輔さんの落語・小説を原作とした映画で、伊能忠敬が没した後、師を慕った弟子や仲間が様々な困難や葛藤と向き合いながら日本全図を完成させるという物語です。原作の中に“伊能忠敬らによって作りあげられた日本地図”という表現があり“ら”
が心に響きました。当時では想像すらできなかった偉業を成し遂げることが出来たのは、伊能忠敬の類稀な才能と強い“おもい”があってのことですが、その背景には彼を慕った仲間や弟子たちの、伊能に負けないほどの“夢”“使命感”や“おもい”があってのことだと知りました。
時代は変わりIT化が進んだ今にあっても、一つの仕事を成し遂げ良い成果を作り上げるためには、関わる人の“おもい”を結集し、力を合わせることなくして出来ないことは何ら変わりません。当社では、先月には60年ビジョンを皆さんと共有し、100年ビジョンに向けての歩みを始めました。
今も昔も、測量:仕事の原点は一歩ずつ確実に行うことです。測量の日に先人の偉業に敬意を表するとともに、仲間をリスペクトし、一歩ずつ確実に歩み、ビジョン達成に向け力を結集してまいります。
和田晶夫