“ベンチャーの神様”と言われた稲盛和夫さんが逝去されました。一技術者として京セラを創業し、一代で世界的メーカーに育て上げられただけでなく、情報通信の自由化の局面では、KDDIを設立してNTTの牙城を切り崩し、市場を自由化へと導かれました。また、晩年には破綻したJALの再建を委ねられ『JALフィロソフィ』を確立し、大企業病に陥っていた組織の意識改革を促すことによって、極めて短期間での再生を成し遂げられるなど、多くの功績を残された、戦後の日本を代表する名経営であります。また、著作や講演等で、多くの人に経営哲学と共に、生き方や働き方について説かれ、日本だけではなく世界中に多くの信奉者がいます。私も、二十年位前から、稲盛さんの著作を愛読し、迷いや錆びかけた心を戒めたことが思い出されます。
稲盛さんの著作で影響を受けた教えの一つとして『目の前の仕事に脇目も振らず、全身全霊をあげて、一生懸命に行うことで新しい世界が展開する』という、極めてシンプルな教えがあります。愚痴や不平や不満を言っても何も変わらない。目の前のことに全力で取り組むことで、気持ちが前向きになり、チャンスが訪れ、全てが好転するといった摂理であると思います。この機会に、稲盛さんの著作を読み直し、最近、再び錆びかけている私の心を戒めたいと思います。
誰しも仕事をしていると、時として迷いが生じ、心が折れそうな時があります。そのような時には、余計なことを一切考えず、目の前のことを一生懸命に行ってみることです。一生懸命に行うこととは『ATM(明るく・楽しく・前向き)』に取組むことであると思います。
九月を迎え、朝夕はめっきり涼しくなりましたが、今暫くは、日中の残暑が続くようです。心身ともに夏の疲れが出やすいのがこの時季ですので、みんなで『一生懸命=ATM』で乗り越えていけるよう取り組んでまいります。
和田晶夫