「読書の秋」という言葉が使われるようになったのは、中国・唐代の文人韓愈(かんゆ)の詩の中で「灯火親しむべし」という一節からのようであります。その意味は、「涼しく過ごしやすい夜の長い秋は、灯火の下での読書に適している」ということであり、そのことから由来しているようであります。
この10月は、平均最低気温は12度、最高気温が21度であることから、過ごしやすく、また、脳の活動にも適していて、読書に没頭しやすい時期であります。
サッカー男子日本代表のキャプテン長谷部誠選手の著書「心を整える」が110万部を超すベストセラーになっています。スポーツ選手が書いた自己啓発本ということでメディアでも多く取り上げられており、すでにお読みになっている方もいらっしゃると思います。長谷部選手については「今までのサッカー選手のイメージとは異なる、硬派で端正、理性的である」という印象を持っていました。この著書では、成長過程からサッカー選手となり活躍するまでの様々な経験から学んだメンタル術について、わかりやすい文章と表現、構成で著されており、ビジネス社会、一般社会でも通じるメンタルコントロールであると高く評価されています。
私がこの本を読んで最も感銘を受けたのは、長谷部選手の読書に対する“思いの強さ”“取組み”であります。読書から得られる学びや、喜びについて自信を持って伝えています。
スポーツ選手と言えば、理論より実践(体力勝負)というイメージがありましたが、彼が国際舞台で活躍し、個性派集団を牽引する源となっているのが読書による啓発によるところが大きいことを知りました。
彼は、稲盛和夫氏、松下幸之助氏、本田宗一郎氏等のビジネス書、人間失格(太宰治)等の小説、その他にもカーネギーの「人を動かす」やニーチェの哲学書等の幅広い分野の本から多くのことを吸収しています。
どのようなジャンルの本であろうと、読むことによって脳が活性化するといわれています。また、面白い本との出会いは人を幸せにします。
一年を通じ、読書には最も適した時期を迎えます。業務も多忙な時期ではありますが、長谷部選手はワールドカップ、アジアカップの期間中でも時間を作り読書を楽しみにしていたということです。
世界で評価されるアスリートとは言え、まだ27歳の若者です。私たちも27歳の若者に負けないよう、読書から多くを学び、多くの実りを得ましょう。