この七月は梅雨前線による“これまでに経験したことのない記録的な豪雨”により西日本を中心とした広い範囲で堤防の決壊、土石流、ため池の決壊等により多くの人命を失う、平成になって最大規模の豪雨被害が発生しました。被災地では今でも多くの人の安心、安全な生活が脅かされています。お亡くなりになった人のご冥福をお祈りすると共に、被災された方には心よりお見舞いを申し上げます。
この豪雨後には、気象庁が”命に危険を及ぼす、災害に相当するような、かつて経験したことのない猛暑”と警鐘を鳴らし、日本各地で40℃を超す猛暑を記録しました。月末には、台風12号が通常とは逆方向に進路を取り、気象庁は“これまでの経験が通用しない可能性がある”と注意を喚起しました。この台風により高波、強風による被害が発生しています。
今回の自然災害、異常気象は、いずれも『経験したことのない』というキーワードが付き、今後、その対処には様々な分野で新しい技術や対応が求められるようになると思います。
『経験』という言葉は、人が生きていて、五感により実際に見たり、聞いたり、行ったりすることで得られた知識や技能を意味します。私たち人類、個人も『経験』から学び成長、発展して歴史をつないでいます。そのように考えれば、頻発する自然災害や地球環境の変化等も、『経験』したことのないことを『経験』することにより、知恵や科学技術を進歩させ、人類をさらに成長、発展させるものとプラス思考で捉えることが出来るのではないでしょうか。
土木分野、私たちの建設コンサルタントは、経験工学であると言われます。それは、先人や自分が積み重ねた『経験』に科学的な理論づけを行うことを技術の根幹とし、安全性、経済性や実用性に優れたものづくりを創造することがその所以で、私たちの仕事は『経験』したことのないことを様々な工夫や新しい発想でチャレンジし、創造することにその楽しさがあります。
地球環境の変化、今回の豪雨により、インフラ整備、地域の防災、減災についても新しい視点、発想が求められることになると思います。
早速、社会、お客様から、災害対応、防災、減災に向けた業務の要請が寄せられています。まだまだ猛暑、炎暑は続き厳しい環境下での業務となりますが、今までの『経験』を活かし、新しい『経験』を積み、個人、会社とも成長、発展できるよう取り組んでまいります。
和田晶夫