今日、二月三日は節分です。節分とは本来は、春夏秋冬、各季節の始まりの日(立春、立夏、立秋、立冬)の前日のことを表していましたが、江戸時代以降は特に立春の前日を指すようになったようです。今でいうと、世界を騒がせているコロナウイルスによる肺炎のように、古来より、季節の変わり目に邪気(鬼)が生じると言われたことから、節分には「鬼は外、福は内」と声を出して福豆を撒くことや年齢の数だけ豆を食べること、恵方巻をほおばることなどによって邪気払いをする慣わしがあります。
先日、樹木希林さんの遺作となった、茶道をテーマとし、日本の伝統や文化、日常のあり難さを扱った“日日是好日”という映画を観ました。その映画で、床に飾られていた、鬼の絵と『不苦者有智(福は内)』と記した掛け軸についてのワンシーンがありました。その言葉『不苦者有智(福は内)』に興味を抱きましたので少し調べてみました。その言葉の由縁は、江戸時代に儒学者が語呂合わせで『遠仁者疎道(おにはそと)不苦者有智(ふくはうち)』(仁に遠きものは道に疎し。苦しまざる者は智あり)と表したことのようです。その意味は「仁に遠い人、つまり思いやりのない人は人の道に疎く、苦労や努力なくして本当の智は得られない」という奥深い教えでありました。
私は、今まで、節分には「鬼は外、福は内」と声に出して、意味も分からず福豆を巻いていましたが、還暦を迎えた今年から「仁、思いやりやいつくしむ心を磨くこと」「努力をして自分自身を磨くこと」を神様に誓いながら邪気払いをしたいと考え、早速今晩に実行したいと考えています。
私たちの仕事における『遠仁者疎道(おにはそと)不苦者有智(ふくはうち)』は、努力を積み重ね、日々の経験を大切にして技術を磨き、社会やお客様に対し、誠実で丁寧な、おもいのある仕事をすることです。
明日は立春で暦の上では春になります。しかしながら、私たちの本当の春は年度末を終えた四月にやってきます。みんなで良い春を迎えることが出来るか否かは、一年を締めくくる二月、三月の過ごし方次第です。年頭に申し上げました、ひとり一人が「主体的になること」「前向きに取り組むこと」「力を合わせること」を大切にして、記念すべき令和元年度を有終の美で飾るべく全社で一生懸命歩んでまいります。
和田晶夫