昨年の12月に『海難1890』という映画が公開されました。1890年に起きた、現在のトルコの軍艦エルトゥールル号の遭難と1985年のイラン・イラク戦争でテヘランに取り残された日本人の救出劇という二つの出来事をもとに製作された映画です。
1890年9月に、トルコの訪日親善使節団約600人を乗せたエルトゥールル号が台風による荒天で座礁し、和歌山県串本沖で爆発、沈没するという大惨事が起きました。その時、地元村民が総出で救助に当たり、一体となって負傷者の手当てや介抱を行い、奇跡的に69名の尊い命が救われました。この史実は日本ではあまり知られていませんが、トルコでは、無事に帰国した人たちによって伝えられ、今も多くの人に知られているようです。
エルトゥールル号の遭難から、約百年後の1985年にイラン・イラク戦争が勃発し、戦時下のテヘランに日本人が取り残される事態になりました。この時日本は、民間機はもとより、法律上の制約から自衛隊機でさえも救援に向かわせることが出来ませんでした。そのような絶望的な状況に追い込まれていた日本人を救ったのは、トルコ政府が派遣した民間機であったことを記憶されている方もいらっしゃるかと思います。
貧しくとも素晴らしい真心と助け合いの文化を持つ当時の日本人とトルコ人の恩返し、友情が100年の時空を超えて深い絆で結ばれていたことを示す感動的な作品です。
日本人は本来、真心や助け合いの精神をDNAに多く持つ国民であると言われています。5年前の東日本大震災の際の行動は国際社会から賞賛されました。また、最近の日本人気や海外からの来訪者の急増も日本の持つこのような文化の素晴らしさによるところが大きいのではないでしょうか。
この映画を観て、私たち日本人は真心と助け合いという、素晴らしいDNAと文化を持っている国民であることに改めて気づきました。
私たちが仕事を行う上でも、真心と助け合い無くして良い仕事は出来ません。忙しくなるとどうしても社内での助け合い、お客様や社会に対する真心、誠意を失う傾向にあります。
今日から2月です。多忙な年度末を迎えますが、私たちに強く刻まれている、真心と助け合いのDNAを目覚めさせて、良い仕事をし、誇りと自信のある成果を創りあげてまいります。
和田 晶夫